おやじ番
タイトルの運動会の次の1というのは、彼らにとって運動会ネタが多いので後々の原稿のタイトルに困らないようにあらかじめ数字を付けておくほうが便利かと思いつけてみた。
この物語を書くのは、なにも今回のHP用に考えたのではなくいろんな機会に彼らの今までの出来事を思い出すたびに一人で吹きだしたり、又は、ぐっときたり(私は、人の3倍涙もろい)する事があって、ひとりで楽しむには勿体ない。・・・その意味では、本を出版するなどと考えれば、とても実現しなっかたであろう。
さて、このタイトルを一番目に持ってきたのは、真が4歳、伸が1歳の時の真の運動会で私自身の彼らとのかかわり方に大きな影響を及ぼした出来事だったからである。
私は、20歳で結婚をしその同じ年に父親になった。いわゆる「○○ちゃった結婚」である(いまさら○○とごまかしてみても意味はないのだが)。その頃の私は、今の彼らと比べても恥ずかしくなるほどの「ガキ」だった。そんな人間が父親になったのだから堪らない。私が親だったら勘当ものである。
ちょうどこの頃、彼らのじいちゃん、私の父が春先に他界し実家に同居するようになり、それまで番ママがかつてやっていた小さな乳児園からここの保育園に編入して来て始めての運動会である。じいちゃんの葬式、同居するまでの住宅からの引越し、そして毎日の活動の場の変動、彼にしてみればかなりめまぐるしい環境の変化であったろうと思う。
それまで私は、彼らにとってあまり付き合いのいい方ではなかった。確かに、残業はかなり多かった。それ以外にも色々と出歩くことが多くて構ってやれないことがほとんどであった。しかし、ありがたいことに彼らから見放されることがなかったのがなによりの救いだった。(今から思えば、彼らの母親が私を悪く言っていなかったからだと思う。)
この頃は、父(彼らのじいちゃん)がなくなり引越しやら会社の切り替えやらで忙しい中でも家族との関わりがそれまでとは比べ物にならないくらい多くなり私の予定も彼らとの時間も勘定に入るようになっていた。今でも思い出すのだが、父の葬儀の時、親族の乗ったマイクロバスの中で真は、始めから終わりまでしゃべり続けていた、「どうして、○○なの?」「なんで、〜〜がこうなの?」 自分に降り注ぐいっぱいの「?」をこんな未熟な父親にぶつけてくる。私も不慣れな葬儀の喪主として(26歳の喪主)結構、疲労の吹き溜まりに差し掛かった頃だったので、この質問攻めには、少々閉口した。その時、番ママと同じ名前の私の叔母が、「いろんな事があって何でも聞きたいんだよね。」とやさしく彼に言ってくれた。今から思えば環境の変化は、彼のほうがかなりシビアだった気がする。あそこで私のキャパシティが稚拙だったら、・・・幸い彼の目を見て話が出来ていてたすかった。少々長くなったがそういうなかで向かえた運動会だった。
彼にとっては、この大勢の友達と大勢の観客(ほとんど園児の家族なのだが彼にとっては大観衆)の中での一代イベントである。親にとっても初体験なので結構、俺らしくない(番ママに言わせれば、「あんたってこういう時はいつもこうだよね。」)行動で落ち着きがない。それでも苦手のカメラ(じいちゃんの愛用品)をもって出かけた。
正直、当日の運動会のプログラム、真がなにをどうしたかすら覚えていない。晴天のもと歓声を背に受けながら、はつらつと飛び回っていた記憶はある。徒競走、お遊戯、玉転がし、・・・満面の笑顔でいきいきと動いている。「楽しんでるな。」「何をしてるんだ?」などと思いながら回りの子供たちと一緒に溶け込んでいる我が子を眺めていた。
成長した我が子を温かい目で見守る親の姿であるはずだが、どうもしっくりこない。・・・4歳のそれも初めての大勢でのイベントだぞ!・・・同じ年の子達は、それぞれに、ちらちらと親達の位置を確認したり、自分の行動を「どうかな?」なんて仕草をしたり、そう、そうだよ、Vサインだよ。・・・ほかの子達は、親達にアピールしていた(そう、ほとんど)。真は、大勢の仲間の中で真剣に走り、踊り、縦横無尽に駆け回り、友達に声をかけ笑い、何よりも見たこともないような、素敵な顔を私に見せつけた。このときの運動会で客席(私達)を彼は、一度も振り返らなかった。
人間は、社会的な動物である。らしい、それが我が子によって叩き付けられた。”衝撃”だった。普段、私と接するときは甘えてペタペタと纏わりつくくせに、なんで今日は、あんなに格好いいんだ。本来なら、丸大ハムのCMのように偉そうに頷いていればいいのだろうが、そうはイカの○○玉だ。夜、好きなビールを飲みながら一人で呟いている。なんとも、絵にも描けない見苦しさ、・・・
3歳で人格が確立(個人差はあるが)する。・・・おいおい、おれは、それまでの彼にどれほど関ってきたんだ?とは、いっても今日の彼は、俺が関っていなくても十分に立派な人格だぞ。・・・だけど俺なしでもそうなのか?酔っ払いの思考の中で少しずつ考えを整理しよう。・・こういう時は、自分の世界に入っているので他の家族は、ほとんど相手にしてくれない。そういゆうことが幸いすることもある。
そう、早いか遅いかは、わからないが彼は私の想像をはるかに上回るペースで成長したのだ。しかも、何の不自然さもない素直な形で…あれ?これは、良いことなんじゃない?ひとつの独立した人格なんだ。私が、口惜しいのは、他の家族に遅れをとったことなんだ。
だんだん落ち着いてきた。うろたえる事はないんだ、このままでいいんだ。そして、私自身が、彼によって教えられたんだ。ぐるぐる回る天井を見ながら、気分が良くなって、----
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